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菓子や冷凍食品、化粧品が消える? [ニュース]

万一、全国の店頭から
菓子や冷凍食品、さらには医薬品や化粧品などが消えたら、
市場がパニックとなるかもしれない。
そんな悪夢が脳裏をよぎる深刻な事態が起きた。

バイオ関連企業の「林原」(本社・岡山市)が
会社更生法の適用を東京地裁に申請したからだ。
これは単なる地方の有力企業の倒産とは次元が異なる。

●甘味料などに使われるトレハロースの世界生産をほぼ独占

林原は甘味料などに使われる糖質「トレハロース」や
抗がん剤「インターフェロン」を量産する世界的なメーカーで、
トレハロースの世界生産をほぼ独占しているのだ。
トレハロースの取引先は全国で約7000社、
製品は約2万品目にのぼるうえ、
「他の代替がほぼ不可能」というだけに、
食品業界などへの影響が懸念されている。

トレハロースは、同社によると「食品の乾燥や傷みを抑えたり、
うま味を引き出したりするなど数多くの特長をもつ」という。
クッキーなど菓子類の甘味料としてだけでなく、
冷凍食品の劣化低減、野菜ジュースの苦味抑制などに役立っている。
さらには保水性に優れることから、機能性繊維や医薬品、
化粧品などにも素材として幅広く使われているという。

菓子メーカーでは江崎グリコ、繊維メーカーではシキボウ、
化粧品では常盤薬品工業、富士フイルムなどが
林原のトレハロースを使用している。
いずれも「当面の在庫は確保している」としているが、
万一、林原の供給がストップするような事態となれば、
各社の生産に影響が出るのは必至だ。

●美術館、自然科学博物館の運営、恐竜の発掘調査なども展開

地方のバイオ関連企業が、これだけ多分野に波及する素材を
独占的に生産していること自体が驚きだが、これが現実なのだ。
林原は1883年に水飴製造からスタートし、
「他社がやらない、他社ではできない独自のテーマで
研究を行う研究開発型企業として歩んできた」(同社)という。

しかし、今回は独自性の強い企業文化が裏目に出たようだ。
帝国データバンクなどによると、
林原はトレハロースやインターフェロンを量産することで、
バイオテクノロジー企業として認知度を高めたが、
運輸・倉庫業、ホテル経営、飲食業など事業の多角化を推進。
美術館、自然科学博物館の運営、恐竜の発掘調査など
メセナ活動も展開したため、「研究開発投資と不動産投資などで、
年間売上高を大きく上回る借入金が経営を圧迫していた」という。

●中国銀行自身の審査態勢が問題となる可能性

非上場の同族企業である林原は、
経営面で外部のチェック機能が働かなかったため、
長年にわたり粉飾決算を続けていたことが判明したほか、
オーナー一族へ違法配当が行われていた疑いも浮上。
捜査当局も一連の不正に関心を示しており、
刑事事件に発展する可能性もある。

林原のメインバンクは地元・岡山の中国銀行で、
林原が同行の筆頭株主となるなど、
「両社は持ちつ持たれつの関係」(地元関係者)だった。
中国銀行は、つなぎ融資を林原に行うとしているが、
長年にわたる粉飾決算が判明したことで、
中国銀行自身の審査態勢が問題となる可能性もある。
中国銀行以外の取引金融機関は林原への不信感を高めている。
林原は「会社更生手続は事業継続を目的としており、
商品の安定供給は確保できると考えている」としているが、
果たして甘味料など素材の供給が順調に進むのか。
林原の再建問題からは目が離せない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110211-00000001-jct-bus_all

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