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ジョジョの奇妙な冒険(8) [マンガ]

ジョジョの奇妙な冒険 (8) (ジャンプ・コミックス)

 

 

 

 


人をバカにしたてめーの態度を 文字通り打ち砕いてやるぜ!
波紋を傷口に流してやるのはそれからだッ!

 ・・・・・・ よかろう・・・
 ・・・・・・ もっと打ってこい!
 これまで このワムウの顔に傷をつけた者はいないのだから
 それがお前に このワムウが授ける死の前の名誉・・・

やかましいぜ! スカタン!
今まで自分の顔を殴った「人間」はいないだとォ?
そのマヌケぶりでよく言うぜーッ!
人間を-マルクを-残忍に殺しても気づきもしねえ
そのお高くとまった態度・・・ 打ち砕いてやるぜ!

  いかん! 何か出る! あの腕の筋肉のパワーある緊張!
  ダメージを受けているとはとても思えん!
  奴は未知の能力を隠し持っている!!

うっ!?
な・・・ なんかヤバイ雰囲気・・・

(た・・・確かに調子に乗ってる場合じゃなさそうだ・・・
俺の手首の出血も止めなきゃなんねえし・・・
そろそろヤツの額の傷に波紋を流し込んでやっつけた方がいいな・・・)

 飛びのいたのはイイ勘だ・・・
 あえて お前に殴らせたのは・・・
 油断した自分を戒めるためであり その教訓とするため・・・
 だがそれも終わりだ・・・

  JOJO お前が奴の額に傷をつけられたのはラッキーゆえ!
  早くとどめを刺すんだッ!

 闘技! 神砂嵐!!

 『左腕を関節ごと右回転! 右腕を肘の関節ごと左回転!
 結構ノンキしてたJOJOも 拳が一瞬巨大に見えるほどの
 回転圧力にはビビッた!!
 その二つの拳の間に生じる真空状態の圧倒的破壊空間は
 まさに歯車的砂嵐の小宇宙!!』

だ・・・大理石の柱がッ!!
こ・・・こんな不自然な形にゾウキンみてえに!
い・・・異常だッ! この破壊りょ・・・ うおおおおおおお!

ドガァーッ

  JO・・・ JOJOォォォ

   だ・・・だめだ! 行ってはッ!
   次は俺達が殺される番だッ!
   あんな技があったのでは シャボン・ランチャーが破られるのは
   当たり前の事だった!
   スピードワゴンさんあなただけ逃げてくださいッ!
   せめてここは 俺がなんとか食い止めるッ

 これが「神砂嵐」・・・・・
 目に血が入り・・・ 方向を誤ったが・・・
 柱の陰ぐらいに隠れてもダメージは十分よ・・・
 くたばったか・・・
 そしてただの人間共などどうでもよいのだが・・・
 このワムウの屈辱の姿を見られたからには
 きさまらも始末せねば・・・ならなくなった!
 覚悟してもらうぞ

ムク・・・ ヨロヨロ

 ! ・・・・・気のせいか

ムクリ・・・ ズルズル・・・

 ・・・・・・・?

    (あ・・・あいつ まさか!? な・・・なんて男だ
    逃げようとしている 死んだフリまでして見損なったぜ!
    俺はともかく スピードワゴンさんまでほっぽり出して
    自分かわいさに逃げ出すとは ブザマな! 奴はクズだった!)

   JOJO・・・

(ハアハア すさまじい・・・
なんてあきれた生物だ ヤバイ相手だぜ・・・)

『JOJOは何か策があって逃げているのか?』

(お・・・俺はもう呼吸は乱れちまっているし
クラッカー・ヴォレイも破壊されて「波紋」は使えない・・・
さしあたって残るは 俺の十八番の策 逃げるだけ・・・
逃げるだけしかできないッ!)

『何もない! 見よ! このブザマなヒーローの姿を
JOJOは地面をなめながら 死んだフリまでして
しかも スピードワゴンをおいてまで逃げ出している!
だが! だからといって JOJOがこの物語の
ヒーローの資格を失いはしない! なぜなら!・・・』

ここまで・・・ たどりつけばもうOKだぜ

 ヌウウ! きさま生きているなッ!!
 
 ドッ

 きさま! このワムウをだまして逃げおおせるとでも思ったか!
 卑怯者め 神砂嵐を食らわしてやるほどでもなかったな!

ガコン ゴオオオ・・・

 ヌウウ!?

へへへ あんたをだますのは ほんの10数メートルでよかったのよ
つまり トロッコまでたどりつけばOKだったのね

 そうかお前・・・ 洞窟の二人を逃がすために
 卑怯者のマネまでして 逆に俺を誘ったなッ!?

あんた また俺の策にはまっちゃったわけね

(なるべく俺はこいつと遠くまで離れるぜ!
だからスピードワゴンじいさんこのスキに逃げてくれ!
シーザー ついでにお前もな!
とはいっても もう絶体絶命!
またなんか策を考えなくっちゃあな やれやれ・・・)

『まぎれもないヒーロー!
ヒーローの資格を失うとすれば
闘う意思をJOJOがなくした時だけなのだ!!』

   JOJOオオオオーッ!!

    ちくしょう! あの野郎! 俺の傷より重傷のくせして!

 そこまでズタボロになりながら 今なお不敵なまなざしをもち!
 ナマイキなセリフをはく! タフな男よ!
 ちっぽけな根性が実にタフだ!
 なぜそんなにタフだ? 脳ミソがクソになってるのか?
 それともこのワムウと これ以上わたり合う策が何か他にあるのか?

ハアハア 聞きたいのか?

 まさか・・・ その「策」とは
 このトロッコを急ブレーキをかけて 転覆させようというのではあるまいな?
 こんなふうに!

 ガゴン! ギャギャギャ! ドーン

(やべえ! 読まれた!)

 それともまさか!
 あの発掘現場から抜け目なくくすねておいた
 その火のついたチンケな物(ダイナマイト)を
 爆発させようというくだらないアイデアか?

(ゲッ! ま・・・また読まれた!)

 手首の”血時計”は一分を回った・・・
 出血多量できさまはもう立つ事もできない
 命が助かる可能性は0%だ・・・ きさまにもう「策」はない・・・
 だのになぜだ その不敵なまなざしの理由は?

聞きたいのか? 本当に聞きたい?

 いや! 聞かんでもいい! やはりすぐ殺す事にした!

一ヶ月ありゃあ 俺はお前なんか倒すほど強くなってみせるのになあ

 ピタリ

 なんだと?

一ヶ月あれば 俺はお前よりも強くなってみせると言ったんだ
俺はお前の額に 初めて傷をつけた男だぜ?
ちょいと努力すれば 簡単に強くなれるのさ

 ・・・・・・

・・・・・・
いや・・・ 今言った事 忘れちまってくれ!
さ・・・ 早くとどめを刺してくれ
こんな立派で強い戦士に殺されるんだ・・・ 名誉な事だぜ・・・

 話を続けろ!

ああ・・・ しゃべるのもダルくなってきた
せめて楽に頼むぜ 楽に殺してくれワムウ

 続けろ!と言っているのだ!

・・・・・・
いやね・・・ あんたはこれからの長~い人生を
ただの人間に額を傷つけられた汚点を背負って
生きていかなければならないと思うんだ・・・
それをぬぐうのは・・・ 強く鍛え抜かれて成長した俺と
正式に闘って勝つ事だと思うのよ

 なにィ~
 ハッタリをかますなよJOJOとやら!

(お・・・ 血管がピクピクいってるぞ!
もう少し怒らせれば完璧につれるぞ!
こいつ俺が逃げ出した時「卑怯者」と叫んだ! 「卑怯者」というセリフ!
つまり闘いに誇りを重んずるタイプとみたぜ! その心理をついてやる!)

今の俺は闘いのシロートなんだぜ!
波紋の修行を正式に積めば たったの一ヶ月で
きさまより強くなる才能があるッ!
何しろ その額を5センチもえぐったのは
歴史上! ただのカスみてえなこの俺なんだからなあ!!
でももっとも・・・ この俺が強くならないうちに殺してしまった方が
あんたにとってはいいよね

 きっさまあ~!

     ワムウ!! もう1分すぎたぞ
     なぜそいつをさっさと始末しない

うっ やばい仲間だ

 エシディシ様・・・
 私はこの「波紋」使いをえらく気に入りました

(き・・・きた!)

 ・・・JOJOとやら 俺はあえてお前の口車に乗ってやるぞ!
 いいだろう! 一ヶ月で強くなるというのなら
 一ヶ月だけ命をくれてやろうではないか!

俺を殺さねーの?

 そうだ

俺と再試合?

 そうだ

やめとけよ 今殺さないと後悔するぜ!

(ワーやったぞ・・・ エシディシとかいう奴が出てきた時は
少しアセッたが ひとまず助かるぜ)

 ただし お前が逃げたままでおれんように儀式を施す!

     ははん! ワムウ いつものやつをやるというわけか

 名づけて「死の結婚指輪」!
 今から このリングを心臓の動脈にひっかけておく!
 このリングの外殻は33日後に溶け始める!
 リングには毒薬が入っている! 手術で取り出す事はできない!
 無理に取り出そうとすれば 殻はあっという間にやぶれ毒は流れ出す!
 毒が体内に回らんうちに助かる方法はただ一つ!
 33日以内に俺と戦って勝ち!
 俺のこのピアスの中にある解毒剤を飲む事のみ!
 まさに「死が二人を別つまで」の結婚指輪よ!
 33日後の真夜中! このローマのコロッセオで待っているぞ JOJO!!



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ジョジョの奇妙な冒険(36) [マンガ]

ジョジョの奇妙な冒険 (36) (ジャンプ・コミックス) 

 

 

 


  さっきの話の続きよ・・・
  『15年前 私達が殺された話』・・・
  『犯人』 まだ捕まってないのよ・・・
  この杜王町のどこかにいるわ

・・・・・・!

 ・・・・・・・!

  私・・・ 『地縛霊』っていうのかしら
  この辺から動けない幽霊になっちゃってるの
  15年間・・・ この場所で『誰かに教えなくっちゃ』と思って
  いろんな人に訴えたわ・・・
  でも あなた達が初めてよ こんなにたくさん話ができる人が来たのは・・・

 犯人が まだ捕まってない? この杜王町に?

  それを知らせたかったの 犯人はこの町に溶け込んでいるのよ

ちょっと待ってくれ 君の話ってのはまさか
『僕らにその犯人を捕まえろ』とでも言うのかい?

  捕まえてくれとは言わないわ でも誰かに教えてほしいのよ
  警察だとか犯人を捕まえられる誰かに・・・

おいおい! なぜ僕らがそんな事しなくちゃあいけないんだ?
僕らが君に なんか義理があるかい?

 露伴先生!

いいから 康一君はちょっと黙ってろよ
僕は冷静な意見を言いたいんだ・・・
殺されちまった事は そりゃあ気の毒だとは思うよ
だからといって なぜ僕が君個人の恨みつらみのために
犯人を見つけなきゃあならないんだ?

  ・・・・・・ あなた・・・
  この町の少年少女の行方不明者の数知ってる?

・・・・・・ いや・・・

  私は知ってるわ 表のコンビニ「オーソン」で
  新聞の「犯罪白書」読んだから・・・
  誰も気に留めないようだけど 全国平均の8倍って数よ
  全員とは言わないけど ひっそりと殺されているの
  奴の仕業だわ・・・
  私が生まれ育った 思い出の杜王町で
  15年に渡って殺人が行われている
  とても「怖い」わ・・・ そして とても「誇り」が傷つくわ
  犯人が捕まった時 私の大好きな「杜王町」は
  「殺人者の町」として日本中に悪名をとどろかせるのは確かだもの・・・
  でも!
  一日も早く犯人を止めなきゃいけないのよ!
  今も誰かが狙われてるわ! 私には何もできない!
  今度殺されるのは一体誰なのッ!
  あなた達生きてる人間が「誇り」と「平和」を取り戻さなければ
  一体誰が取り戻すっていうのよッ!

  わかってくれたかどうかわからないけど・・・
  『話』は終わったわ・・・

 ・・・・・・ わ わかりました・・・
 とてもショックを受けましたけど・・・
 でも なんとかしなくては・・・ なんとか・・・!

・・・・・・ フンッ
イイ子ぶるなよ康一君・・・ しんどいめにあうぞ・・・

 ・・・・・・

  ・・・・・・

でも『犯人』を追って取材するのもいいかもな!
面白そうな「マンガ」が描けるかもしれん

~~~

 『一家惨殺 犯人の手がかりゼロ』

  『M県杜王町 被害者に16歳少女も』

・・・・・・

 「杉本家之墓」

  「墓誌:杉本家
       昭和五十八年 八月十三日
              長女 鈴美 十六才」

あったぞ! 『杉本鈴美16歳・・・』
彼女の話を疑ったわけじゃあないが 裏がとれた・・・

 おおっ 君はもしかして・・・
 漫画家になったという岸辺露伴・・・君かな?
 
・・・・・・

 おお~っ!! やっぱり!
 立派になったのォ~ よく雑誌で君をみるよ・・・
 生まれ故郷のこの町に越して来たそうじゃねッ!

僕を知ってるのか?

 んーんー わしの孫が君のマンガを集めとるよ

いや そうじゃあなくて 僕の『子供の頃』を知っているのですか?

 うむ~! よく覚えとるよ 杉本家の時は大変じゃった・・・
 『君の家』ものォ~

!? 『僕の家』も?
妙な事を言うな 一体何の事だ?

 ・・・・・・? 覚えてないかの?
 いや・・・ 君は「それで」鈴美さんの墓を参ってたんじゃあないのかの?

僕が杉本家の墓を参る? 何の話をしているんだ?
僕は ちょっとした取材でこの墓を見に来ただけなんだが・・・

 おやおや これは何か 妙な話のくいちがいがありますなあ

くいちがってるのはあんたの方だ 何の話だ?

 露伴君 君は当時3~4歳だったから
 あの『事件』を覚えてないのは当然だ・・・
 しかし・・・ ご両親は君に『話されて』なかったのか・・・

・・・・・・? 僕の両親・・・?

 いや そういう事も大いにありうるのォ~
 あまりにも『ショック』だからのォ~
 君のご両親が君に話さなかった気持ちもよくわかる

ちょっと待て! 僕がこの事件に
『何か関係があるっていうのか?』

 いや・・・ 困った・・・
 君のご両親が秘密になされていた事を
 この私が話していいものかどうか・・・

あのな~ もったいぶらないでくれ・・・
ここまで話をふられたんだ・・・
どっち道 とことん調べる性格だよ・・・ 僕は

 ・・・・・・
 そうじゃのう 15年もすぎた昔の話だし
 君ももう大人だしの・・・ 話しても害はないかの・・・
 しかし何か『運命』じみたものを感じるのォ~

・・・・・・

 当時 君の家はあの近所にあったんじゃが・・・
 あの事件の日 君のご両親は急用で
 どうしても留守にしなくてはならなくなった・・・
 近所付き合いで親しかった杉本家に・・・
 4歳の君を一晩だけ預けてな・・・

・・・・・・・・・・・・

 あの夜 露伴君・・・ 君は杉本家に泊まっていたんじゃよ
 そして 4歳の君だけが助かった・・・

僕が・・・・・・ 「いた」だって・・・・・・?

 警察に保護された時 君は・・・
 たった『一言』だけをくり返して泣いておったそうな
 『鈴美お姉ちゃんが窓から逃がしてくれた』

 『鈴美お姉ちゃんが窓から逃がしてくれた』

 ・・・とな
 犯人が君を見つける前に 鈴美さんがかばってくれたのじゃな

・・・・・・・・・・・・



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ジョジョの奇妙な冒険(35) [マンガ]

ジョジョの奇妙な冒険 (35) (ジャンプ・コミックス)

 

 

 

 


康一君・・・

 ・・・・・・ (キョロキョロ)

ここだよ康一君

 あっ!! きっ! 岸辺露伴ッ!

おいおい 身構えるのはよしてくれよ
僕が もう君に何か危害を加えるわけないだろ?
もし君に何かしたら・・・
あの恐ろしい東方仗助が黙っちゃあいないしね・・・

 ・・・・・・ あのォ~ 僕に何か用でしょうか?
 僕 これから学習塾に行かなきゃあいけないんです

「学習塾」・・・ 最近の学生はマンガ家より忙しいな・・・
いやね・・・ ちょっと聞きたい事があるんだよ
僕は赤ん坊の頃から4歳ぐらいまで この辺りに住んでいてね・・・
その頃住んでいた所を探してたんだよ
「ノスタルジィ」って感情かな・・・
子供の頃を思い出すのもマンガ家の仕事なのさ
しかし3歳か4歳の時の記憶だろ? よく覚えてないんだ

 ・・・・・・ (ボケ~・・・)

いや 時間はとらせないよ・・・
聞きたいというのは この町内地図の看板なんだ・・・
とても奇妙なんだ?

 「奇妙」?
 あれェ~っ 「薬屋」と「オーソン」の間の道が
 この看板に描いてませんね! イイカゲンだな!

あの道は一体どこへ行く道なのか?
それなんだよ 僕が混乱しているのは・・・
どこへ行くと思う? あの「道」・・・?

 さあ~ 薬屋さんにでも聞けば きっとわかりますよ!
 それじゃあ 僕はこれで!

僕の持ってる地図にも載ってないんだぜ あの「道」・・・

 ? えっ! ・・・本当ですか!?

康一君 ちょいと行ってみないか?
この辺案内してくれるとありがたいんだが・・・

 露伴先生・・・ あの~ 今 僕急いでいるんですけど・・・

この岸辺露伴が頭下げて頼んでいるのに・・・
ふ ぅ ~ ん そうかい!
君はたった数10メートル歩くだけの事を断るのか・・・
いいとも! 人に冷たくしといて テストでせいぜい
いい点とって いい学校に入りたまえ

 まいったなぁもう~っ ワガママだなあ~

~~~

この地図・・・ まったくムカつくな~
見ろよ康一君 「米森」とか「本間」とかいう家も載ってないぞ
ミスだらけの地図だ・・・

 いや・・・ 露伴先生 なんか空き家みたいですよ
 人が住んでる気配とかないみたいです
 変なとこだなあ・・・ ここら4~5軒
 誰も住んでるふうじゃないや!

だめだこの地図・・・ 役に立たない
あの曲がり角もその先の道も載ってないな・・・

  あなた達・・・ 「道」に迷ったの? 案内してあげようか?
  この辺 迷う人が多いのよ・・・ 似たような路地が多いから・・・

・・・・・・

 ・・・・・・

行き方だけ教えてくれればいいんだけどな

  ダメダメ! 説明だけじゃわからないのよ!
  案内してあげるからついて来て!

~~~

  ポッキー食べる? いらないの?
  じゃあ~ 試しにそっちのはしを持って!

   ポキィッ

  あっあ~♪ あなた女の子にフラレるわよっ

・・・・・・

 ・・・・・・

なんだ? この女・・・

  「ポッキー占い」よ 「占い」信じる? 折れた感じで占うの・・・
  あなたワガママでしょう?
  それも結構 人をひっかきまわす性格ね フラレる原因はそれよ
  
おいおい 「ポッキー占い」だァ?
聞いたか? 康一君・・・ 全然当たってないよなあ~
僕がワガママだってさ!?

 ・・・・・・・・・・・・

そんなんだったら僕だって知ってるさ
薄いピンクのマニキュアの女の子は
「恋に臆病」「肝心な所で本当の恋を逃がす」

  嘘よ・・・

これは占いというより心理テストだな
恋でなくても 今・・・何かを恐れているだろう?

  ・・・・・・

 ?

・・・・・・?

  ここの家ね・・・ 15年ほど昔 殺人事件があったんですって・・・

 えっ!

!!

  今は誰も住んでいないわ・・・ 話 聞きたい・・・?

殺人・・・

  ・・・これ 隣のおばあちゃんから聞いた話よ
  
  その事件の真夜中・・・
  この家の女の子が寝室で寝てるとね・・・
  両親の部屋の方で 「ピチャリ!」「ピチャリ!」って
  何かがしたたる音で目が覚めたんですって
  
  なんの音だろう? 女の子は
  「パパ! ママ!」って呼んだけど返事がないんですって

  でも女の子はそんなに怖くなかったのよ
  なぜなら女の子のそばには愛犬がいたのよ
  大きな番犬よ 暗闇でもベットの下に手をやると
  「ククーン」と甘えてペロペロ手をなめてくれたの

  「『アーノルド』がいるから安心だわ」

  だけどもあいかわらず
  「ピチャ!ピチャ!」って音が 何十分も続いているんですって・・・
  「どうしてパパとママはあの音に気がつかないんだろう・・・?」
  ついに女の子は何の音か調べに行く事にしたのよ

  廊下に出て「ピチャ!ピチャ!」って音の意味がわかった時
  女の子に初めて恐怖が襲ってきたのよ

 ・・・・・・

  壁のコート掛けには 愛犬アーノルドが
  首を切られてブラさがって死んでたの・・・
  その血がしたたってたの・・・
  ピチャピチャって音は・・・

 え?

い・・・ 「犬」?

  突然ベッドの下から声がしたわ!
  
  「お壌ちゃんの手ってスベスベしててカワイイね クックックーン」

  「両親もすでに殺したぞ」

  そして! その女の子も殺されたのよォーッ!

 うわあああああっ
 ほっほっ 本当の話ですかァ~ッ?

  アハハハッ!
  本当の話に聞こえた? マニキュアの仕返しよ ウフ

・・・・・・

 プハァー し・・・心臓に悪いなあ~ もう~
 冗談キツイよォ~

・・・・・・

  ピチャリ ピチャリ

    ピチャ ピチャ ピチャッ

なっ! これはッ!?

  そう・・・ その「女の子」って私なのよ・・・
  「幽霊」なの・・・ アーノルドと私は・・・  



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ブラッドハーレーの馬車 [マンガ]

ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS)

 

 

 

 


資産家・ブラッドーハーレー家の養女になる事が、
孤児院の少女達の憧れだった。
ブラッドハーレー聖公女歌劇団で華々しく活躍する・・・。
そんな期待に胸をふくらませた少女達がたどり着いた先は、
暗い暗い塀の中。
恐ろしく壮絶な悪夢が始まる―。

---

あとがき

こんにちは。日本一資料性の薄い漫画家、沙村広明です。
3年程前アン・ブックスにはまり、編集長に
「赤毛のアンみたいな漫画にします!」と宣言して始めたこの漫画。
お読みになりました通り、宣言は1ミリも守られませんでした。
というか実のところ、最初は「エロい漫画にしよう」と心がけたつもりが、
途中からどんどんエロシーンがなくなっていき、
最終的には何がしたかったのか、自分でも
もはや分からなくなってしまいました。



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岸辺露伴は動かない [マンガ]

ジャンプ SQ. (スクエア) 2008年 01月号 [雑誌] 








【岸辺露伴は動かない】 絵:荒木飛呂彦 原作:岸辺露伴
ジャンプスクエア1月号掲載

お疲れ様でぇ~す いい天気すね 何読まれてるんですか?
 <貝森稔(23)到着 漫画編集者 入社1年目・既婚子供なし>

ド・スタールだよ

 ドスタール? 新人バンドか何かですか?

・・・・・・・・・・ 興味深いな・・・
編集者の君には これがミュージシャンの本に見えるのか?
100メートル先の薄暗い所から眺めても画集にしか見えないと思うが

 ・・・・・・

画家だよ
’55年没「ド・スタール」が描く絵は・・・
抽象画でありながら 同時に風景画でもあって
そのせめぎ合いをテーマに描いている
こんな簡単な絵なのに 光と奥行きと哀愁があって泣けるんだ
つまり「絵画」で心の究極に挑戦してるんだ
<岸辺露伴(27) 漫画家 デビュー11年目・独身>

 ・・・・・・・・・・ はぁ・・・?

あのねー!!
貝森くん・・・ 仕事の待ち合わせに遅れるってのは
社会人としてもちろんNGなんだが
漫画家のとこに「6分」も早く着くなんて
編集者として礼儀知らずってもんじゃあないのかッ?

 あっ し・・・失礼しました・・・ 早いのもダメですか・・・

僕だからよかったな
じゃあ さっそく次の「読みきり」61ページの打ち合わせをしよおっか!

  すいませーん 露伴先生 ファンなんスぅーッ
  サインしてもらっていいスかあ?

 あっ ダメ!ダメ! サインはダメよ君たち!
 今仕事中だからねッ! 忙しいのッ! 遠慮してねッ

もうすでに描いたよ 仕事の遅い奴と一緒にするな
サインくらい SPECIAL THANX!

  どわっ!! いつの間に スゲッ! ドリッピング画法! コーヒーで!
  ありやとっスッ! どーもしたッ!

ところでちょっとさあ~
打ち合わせの前に少しばかり生々しい話してもいいかい?

 「生々しい話?」

ああ・・・ ズバリ言うと金の話だよ
・・・原稿料の話 いいかい?
前借りできないかな・・・?
実は最近「破産」した

 ・・・え!

借金まではしてないんだが・・・ 今 家がない・・・
康一君のとこ泊めてもらってるし 漫画描く机もない
「セーラームーン」のフィギュアも
「レッド・ツェッペリン」の紙ジャケも
「るろうに剣心」も全部売っ払っちまった

 なんですってッ!

モン無しってヤツだよ
財産は君のまったく興味のないド・スタールの画集
これ一冊だけだ 悪いか?

 仕事場ないんですか!? 破産て・・・!?
 でも この間露伴先生 山林買ってたでしょ!? 別荘地のッ!?

だからさッ!
あの山で妖怪伝説の漫画描くってんで取材してたら
開発業者がリゾート道路通そうとしやがったんだ・・・
それで周りの山を6つ買って道路工事を阻止したんだよ 仕方なかった
できるだけ面積たくさん買わなきゃダメだろ? 道路を止めるんだからな
で・・・ リゾート道路計画がなくなったもんだから
土地価格が値崩れして原野同然・・・
買った6つの山は二束三文になっちまった・・・
つまり僕はモン無し・・・
原稿料前借りできる? 悪いか?

 ちょ・・・ ちょっと待ってください
 今の話 確認させてください
 先生 漫画の「取材」のために あそこの山買ったんですか?
 投資目的じゃあなく?

そうだよ・・・ 必要なのはリアリティーだ

 妖怪伝説の取材のために?

くどいな!!
もし道路が開通してみろ
仮に妖怪が あの山から逃げていなくなっちまう
・・・かもだろ? ・・・そうなったら台無しってやつだ!

 ・・・・・・・・・・(ゴクリ)

おいおいおいおい なんだよその顔は?
今 目そらしたな!
あ・・・ 目をそらしてるッ!
僕の事 頭があぶない奴だと思ってるらしいな!! 編集者君
いいか! スーパーカー買ったり
自宅の地下にゲームシアター作ったりするだけが
漫画家の金の使い道じゃあないだろ?
しかも・・・ ちゃんといたんだからな
取材の価値は十分あったぜ
いいか! この話をするのは君の編集部だけだぜ

 ・・・・・・?
 いた? ・・・え? いたって何がいたんです?

なぁ・・・ 君ねぇ!
人の話ちゃんと聞いてんのかッ!?
この目で見たんだ 「六壁坂」の妖怪は今もいる
奴はまだ 今もあそこにいるんだ!

【岸辺露伴(きしべろはん)】

●1979年生まれ、血液型:B型
 出身地:M県S市
 現住所:秘密、電話番号:秘密
 代表作品:16歳の時から連載している「ピンクダークの少年」

●インタビュー

―あなたにとって漫画とは何ですか?

 その質問は、ほんと、読者が知りたい質問?

―そうです。

 嘘言うなよ。あんたのオマンマのタネだからしてんだろ?
 くだらない質問するな。

―尊敬している人は誰ですか?

 こせきこうじ。
 (この答えは嘘。彼は、自分以上にスゴイ人間など
  いないと思っている。誰であろうと小バカにしている)

―この世で最も大切なものは何ですか?

 家族と友人。
 (これも嘘。彼にとって漫画以上に大切なものなど何もない。
  作品のためなら全てを犠牲にしても全然心など痛まないし、
  一人でいる事に孤独だなどと感じた事はないのだ)

●ファンレター

 ・先生の作品は最高です。ますますガンバッテください。(中2男子)
 ・読み始めたらやめられない。サインください。(小5男子)
 ・気持ち悪いよ、あんたの絵!(21歳学生)
 ・毎週10回は読み返します。(高1女子)
 ・見るだけでムカつくマンガ。特にカラーが嫌いだ。(高3男子)
 ・これは不幸の手紙だ。明日までに99通出せ。(不明)
 ・いい気になってんじゃねーぞ!ボケ!(不明)
 ・愛してます。結婚してください。(28歳OL)

□岸辺露伴について-荒木メモ

 ・名前の由来は特にないが、語感から作家・幸田露伴の「露伴」を拝借。
  「岸辺」は僕の故郷の地名か何かから引用した記憶があるが、
  深い意味はなし。
 ・露伴が連載している「ピンクダークの少年」は、
  ファンタジーとリアリティーが融合しているサスペンス漫画。
 ・露伴は漫画家という職業なので、僕自身が投影されているのでは、
  との声もあるが、リアリティーを出すために
  自分が最もよく知る職業を出しただけ。
  僕は決して彼のような超ヤバいセリフは言いませんからね。



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