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住基ネットとマイナンバーの違い [知識]

住基ネットの導入から10年以上が経過しました。
導入費用に約400億円もかけたにも関わらず、
住基カードの普及率はいまだ5%に留まっています。
折しも先日、住基ネットとイメージがダブる
「マイナンバー(共通番号制度)」法が参院本会議で可決されました。
住基ネットとはなんだったのでしょうか?
また、マイナンバーとはどう違うのでしょうか?

総務省のホームページには、住基ネットは
「住民の方々の利便性の向上と
国及び地方公共団体の行政の合理化に資するため、
居住関係を公証する住民基本台帳をネットワーク化し、
全国共通の本人確認ができるシステムとして構築するもの」
とする説明があります。
しかし、国民にとって実際のメリットは、身分証明書になるほか、
パスポートや年金関係の届け出をしたり、
eタックス(税金のネット申告)を利用したりする程度で、
使い道は非常に限られています。
 
総務省によると、住基ネットの運用に毎年かかるコストは約130億円。
事業仕分けの際は、「運営法人が官僚の天下り先になっている」、
「運営コストが高すぎる」といった指摘もありました。

このコストに対し、パスポートを申請するときの住民票や
年金管理に使う現況届などを省略できることで
「事務の効率化」や「郵送料の削減」が実現し、
約160億円の直接的な費用対効果があるとしています。
また、書類の記入や投函を省略できることで、
住民の機会費用等や交通費の削減として
約350億円の間接的な効果も発生するとも。
しかし直接効果はまだしも、間接効果は根拠があいまいで、
本当にこれほどのメリットがあるのかは、
意見が分かれるところでしょう。
個人情報保護の観点等などから、
住基ネットへの参加に難色を示す自治体も少なからずありました。

いっぽうで、住基カードは今のところ
情報漏洩などのトラブルが少ないという
肯定的な意見も散見していましたが、たった5%の普及率では、
問題など起きなくて当然という声も聞こえてきます。
まったくトラブルがなかったわけでもなく、たとえば今年の春先、
住基ネットで大規模な障害が発生し、231の自治体で
利用不能になったというニュースは記憶に新しいところです。
住基ネットの10年を振り返ってみると、
とにかく批判が非常に多かったことを改めて感じます。

では、散々な評価だった住基ネットと、
マイナンバーの違いはどこにあるのでしょうか?

もっとも大きなポイントは、その利用範囲の広さでしょう。
住基ネットの情報は、氏名、生年月日、性別、住所だけに留まり、
閲覧も役所内部に限定することを前提としていました。
いっぽうマイナンバーは、国民ひとりひとりに固有の番号を割り当て、
希望者にはICカードを配布。
社会保険に関する情報照会や確定申告など、
さまざまな手続きが個人向けのインターネットサービスを通じて
できるようになる見込みです。

マイナンバーでは税分野や社会保障、災害対策といった
多岐にわたる情報が共通の番号で管理され、行政事務の効率化のほか、
税や社会保障に関する不正の防止も期待されています。
また、法律の施行から3年後をメドに、
民間での利用も視野に利用範囲の拡大が検討されます。

マイナンバーの導入には、
初期費用だけで住基ネットの数倍となる
約2700億円もの費用がかかると推定されています。
運営費は年間200億~300億円といわれており、
「IT業界を儲けさせるだけ」という批判も。
管理は住基ネットを運用する「地方自治情報センター」を
格上げして設立される「地方公共団体情報システム機構」が担い、
早くも天下り問題を指摘するメディアもあります。

制度自体は、IT基盤を活用し行政の効率化が量られるとして、
評価する向きも少なくありません。
ただ、こういった電子政府化への動きは
メリットがある反面リスクも多く、
たとえば「住民登録番号」を導入している韓国では
ネットを経由した詐欺事件が多く起きていると報じられています。
また、国が個人の情報を把握し過ぎることに対する
不安の声もあります。
マイナンバーを活かした電子政府化の推進が掲げられるなか、
解決すべき課題も数多く残っています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130825-00010001-wordleaf-soci&p=1

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