嘘喰い：世界の成り立ち

ハハッ　どうやら足りていないようだね君は・・・
知っているつもりで知らず・・・　考えているようで考えが及ばない
この世の事を認識しているつもりで　まるで足りてなかったのだね

君は　今まで普通だと思っていたその日常から
悪鬼羅刹うごめく黒い世界に足を踏み入れた
神経を研ぎ澄まし　その地で生きる覚悟を決めたのだろうが
そもそもこの世にそんな境界線など存在しない

善人達の清き白の世界も
悪意の闊歩する黒の世界もない
ふたつが濃厚に混じり合う混沌
全てが一体となっているのが人の棲む世界
君は最初からそこに立っている
白でも黒でもない灰色が世界を構築しているのだ
そこに境などない

混沌なのだから
「生」そのものがね・・・
もしそれを白と黒　あるいは善と悪とに区別するとしたら
私に言わせれば
この惑星で殺し合い　水も飲めず死にゆく生命が存在する
その事実に我関せず
平和な国で腐った道徳や常識をふりかざす
小賢しい先進国の人間こそ
ドス黒い悪人だ

あくまで私に言わせれば・・・だがね
真実は　この世に善悪などない　という事だ
混沌の地に全ての生命がいるだけ・・・
大事なのはそれを認識する事
認識が足りない者は早死にする

リスクやノーリスク
そんな事ばかりに囚われ
歪んだ常識で事を判断した結果・・・
君は疑いを捨て　賭けに乗ってしまった
それが君の事を　足りない　と言った理由だ
大きな代償を払う事になる