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電線ねこそぎ消えたアフリカ [その他]

●電線など根こそぎ消えた
 南ア、コロナで停止の鉄道が略奪天国に

新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)で
3~6月に営業を見合わせた南アフリカの都市近郊電車路線で、
電線やケーブルなど設備の略奪・破壊が相次いでいる。
電車が走らなくなり、警備が手薄になったところを狙われた。
約2200キロある路線の大半で
運転が再開できていない深刻な状態が続いている。

南アの最大都市・ヨハネスブルク南西部にあるソウェト地区。
半年以上電車が通っていないという線路の上を歩くと、
略奪の痕跡が至るところで目についた。
頭上にあったはずの架線はほとんどなく、
絶縁器具だけがゆらゆらとぶら下がる。
線路脇には長い溝が掘られて、
地中の通信ケーブルが根こそぎ取られていた。
信号機も根元から倒され、中の電子機器がない。

同地区内にあるクリップタウン駅。
無人のホームの上を歩いていると、
線路脇で5人ほどの若い男らがスコップで地面を掘っているのが見えた。
カメラを向けると「写真を撮るな!」と鋭い声が返ってきた。
白昼堂々、地中のケーブルを盗んでいるようだ。
駅舎は廃虚同然になっていた。
プラスチック製の待合用の椅子は粉々に砕かれ、
金属製の階段の手すりは切り取られてなくなっている。
事務室、トイレ、切符売り場…。いずれも略奪や放火の被害に遭い、
屋根は抜け落ちて内部はがれきの山だった。

「カネがぶら下がっているようなものだ」
ヨハネスブルク周辺で鉄道設備の略奪を続けているという50代後半の男が、
自宅で取材に応じた。
毎晩、午前1~4時ごろに3、4人の仲間と共に「現場」に向かう。
線路の電柱によじのぼり、のこぎりなどで電線を切り落としていく。
地上で運びやすいサイズに切り分け、
車に乗せてスクラップ屋に持ち込んで現金化する。
狙うのは高値で売れる銅製などのケーブルだ。
レールは鋼鉄製で単価が安い上、持ち運びが難しいため取らない。

男は鉄道のケーブル盗をコロナ禍以前から行っていたが、
高圧電流が流れる線を奪うのは命の危険を伴う行為だった。
それがロックダウンによる全面運休以降は
「格段にやりやすくなった」という。
うまくいけば一晩で、グループで3万ランド(約20万円)を稼げる。
「政治家は汚職でもうけている。
俺たちも生活のためにケーブルを盗んで何が悪いんだ」
男はこう強弁した。

南アの鉄道工学の専門家、ウィレム・スプロン氏は
「運営する旅客鉄道公社の警備態勢が不十分で
被害を食い止められなかった」と指摘する。
電線の復旧だけで路線1キロ当たり400万ランド(約2600万円)という
巨額の費用が予想されるといい、
「これ以上の被害が出なかったとしても、
復旧までに3年はかかるだろう」と推測する。

施設が壊滅的な打撃を受けた近郊路線では、
旅客鉄道会社が「苦肉の策」として気動車を使った部分営業を始めている。
ヨハネスブルク近郊の駅では、パンタグラフを下ろしたままの電車が、
黒い煙を吐くディーゼル機関車に先導されてホームに入ってくる。
貨物鉄道会社からレンタルし、ヨハネスブルク近郊では11ある路線のうち
3路線程度で乗客を乗せて通常より本数を減らして走っている。

だがスプロン氏は「暫定利用はできても、
完全に電車の代わりにはならない」と指摘する。
レールと枕木の接続部分の金属が盗まれているケースが多く、
ディーゼル機関車で走らせるにしても事前の修理や安全確認が必要だ。
また略奪により信号ケーブルも被害を受けたため、
運行中の事故リスクが高まっている。
さらにディーゼル機関車の数も限られている上に、
燃料代は電車の6倍程度になり経済的にも不利という。

南ア政府が急ぐのは、鉄道の警備態勢の再構築だ。
警備が不十分なまま復旧工事を始めれば、
再び同じような被害に遭うのは目に見えているためだ。
旅客鉄道公社は2019年後半、「規則から外れ違法な点がある」として
民間警備会社との契約解除を決めた。
その後、代わりの警備会社が決まらないままロックダウンに突入し、
深刻な被害につながった経緯がある。

一方、ヨハネスブルク周辺には
10年のサッカー・ワールドカップ開催に合わせて開通した
「ハウトレイン」(全長80キロ)とよばれる新路線が通っているが、
こちらは略奪被害をほぼ免れ、通常運行に戻っている。
ハウトレインはロックダウンの運休中も駅舎や線路の警備を継続。
線路は地下や高架上にあるか、地上部でもフェンスがあり、
略奪犯が侵入するのが難しい構造になっている。

ハウトレインは最高時速160キロで、
富裕層が住む地区や国際空港、首都プレトリアを結ぶ。
白人を中心とする富裕層や中間層以上の利用が多く、
駅前には駐車場が整備され、パーク・アンド・ライドで
通勤に使う人も多い。料金も公社路線より割高だ。

コロナ禍で貧しい庶民の足となってきた公社線が壊滅的被害を受ける一方、
「金持ちの乗り物」(地元住民)は無傷で残った格好で、
アパルトヘイト時代から続く貧富の格差を
さらに助長しかねない事態にもなっている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/72b9961c9bfe47f5f1945545f2121e2733dce693

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愚かですね。
インフラを略奪で破壊した後に訪れるさらなる苦しみもわからない。
貧困と言うのは道徳心を産まない現実社会のことなのか?
国が教育しなければならないが
汚職で国民に行きわたらないことが最大の問題ではある。

「人を奴隷として扱い、教育を奪う」と言う事は、
こういう事なんだなと痛感する。日本でも教育を失えば
いずれ南アフリカと同じ道を辿ることを肝に銘じなくては。

日本でも何年か前に碓氷峠の廃線でケーブルが盗まれたと話題になったね。
捕まらなければ何をしてもいいと考える輩はどこにでもいる。

目先の富か次世代に繋げる富かを考えさせる話。
今日、我が国の教育は後退していると言われているが、
寺子屋的教育は人間にとって必要だという事が証明される話と言える。

イラクで米軍がサダムフセインを追い出したあと、
民衆は、アメリカや欧米が、我々に何もしてくれない、
仕事をくれない等々デモしていた。
ここいらの国民は自分等で国を作る、働く、産業を興す、など
考えることがない。道具や機械を与えても、使わない。
長い間の教育と風習が邪魔をしているのだろう。

いただけない行為だがまぁそれは先進国に産まれた者の目線かな。
日々食うに困らなけらば誰もそんな事はしないと信じたい。
敢えて苦言を呈するなら、長年外国からの援助に頼り続けてきたせいで
どうも自立自助の精神に欠けていると思われること。
他人の助けを受けることが当たり前になってないか?
そこを抜け出さないと永久に豊かになれないし
こういう事もなくならないと思うね。

幾ら手を差し伸べてもこの繰り返し。
結果を見る限り、お節介だったのかも知れない。

人に魚を与えれば一日で食べてしまうが、
釣り方を教えれば一生食べていける。
これが理想。
現実は今を生きるために釣りの道具を売り払う、
未来を考えず根こそぎ魚をとる。
或いは争いの原因になる。
一体なにをすれば彼らは変わるんだろうか。

まあ、隣人への信頼があるか、という話でもある。
たとえば、自分が略奪をしなければ今日鉄道は動いていたのか?
答えはノー。他のグループが略奪していた。
ならば略奪を止めても自分の取り分が減るだけ。未来を見る余裕などない。

こういうのは遠回りな様でも
子供に適切な教育を与える事から始める以外の手はない。
何十年掛かろうと必ずそれをやる事が国の未来を開くんだと
強く気高い志を持つ人が政治家に必要でもある。
まあ、なかなか難しいんだろうけど。

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